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天井から下がった電球一個を頼りに、あぐらをかいてちゃぶ台を囲むセピア色の一家だんらん…。
そんな住空間に、にょっきりと四本脚を生やした、金属とガラスとプラスティックからなるビカピカの股先端機器はいかにも異形の閲入者だった。
そこで、異物はちよいと垂れ幕で隠し。
しかし、一九七○年代に入るとニッポンの住まいは劇足元で、敷き皮になったベンガル虎が真っ赤な口から牙をむきだし、ガラスの眼玉をカツと見開いていた。
Jの赤ラベルと黒ラベルが並んだサイドボードの上にも剥製の置物。
こちらはコブラとマングースの死闘である。
ドアが開くと、和服姿の奥さんがにっこり笑って金歯を光らせ、羊葵とR紅茶をすすめてくれた。
和、洋、中華、エスニック、なんでもかんでも呑み下し、消化してしまうニッポン人。
そのダフな感性がつぎつぎと生み出す生活文化の大道具小道具たち…。
ニッポンで一般家庭にテレビが普及したのは一九五○年代の半ばからだったが、そのころ売られていたテレビ(もちろん、白黒だった)は、なぜか、ブラウン管の前面を覆うためのカバーがつけて売られていた。
カバーというより小さな綴帳というべきか。
芝居小屋や映画館の舞台にかけられる綴子の幕と同じように、鈍い光沢がある重い生地でできていて、裾に金色の房飾りがついていたりした。
その中で、人物が飛んだり、跳ねたり、踊ったりするこの電気仕掛けの魔法の箱は小さな劇場に見立てられていたにちがいない。
そういえば、テレビを郷撤して「電的に変化する。
畳と襖紙の需要が急転直下で落ち込み、新築住宅は一気に洋風化へと突き進む。
和室一室、あと皆洋室、明るく楽しいモダンリビングーという時代がここからはじまる。
やがて、カラーテレビの普及とともに、この綴帳は姿を消していくのである。
さて、こうなってくると、日本人は新たな難問を抱え込むことになる。
仏壇はどこに置くべきか?というモンダイである。
ご先祖様を祭る仏壇というのは、たいていの場合、重々しい素材、暗い色調。
大仰な彫刻と金ピカの装飾金具で飾り立てられている。
和風というか、唐風というか、家具というか、設備というべきか、インテリアプランの中にどう置いたらいいのかよく分からない箱物である。
なにしろ、モダンリビングの家とは、シンプルで、軽快で、白いビニールクロスの内装を基調としたうそ明るい住空間である。
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